キクチミョンサ的

「なれのはて」ということばがよく似合う、ちいさなぼくのプライドだよ

もの言うひと

この衣服は

ほんのちょっとばかしぼくに

合っていない

幾ばくかちぐはぐに描くような落陽

おいしいオレンジの横、使い残されたイエロウ

つがいのお洒落な恋人は遠いドア開くようたどる

家路のイメージ

 

 

その紙幅は

本のちょっとぼやかした語法

似合っていない

竹帛は仕組まれて薄情な落丁

ランダム、選ぶような感覚、言えなかったこと言えよ

暗いなお前の顔が行間をどんどん埋めてゆく

家路の、

果たされぬ家路のイメージ

 

 

できるだけ綺麗に送ってやりたかったもんだ

エチルアルコールで、昔すきだったラムコークで、胸を指す遠くへ

グラス一杯の惻隠の情

死にきれなかったなら取っ組み合いしよう

骨の何本かくらいくれてやる

その頃には街の灯も暮れてるはず

 

 

ブルーズの一番星はまだぼくの上に光っているか

 

 

ありとあらゆる街のカラフルな今日が終わる

ざんざんとさんざめく風と断簡零墨

取りこぼしたことばひとつ見捨てるつよさがほしい

櫛比する軒先にまだ落ちない夕陽、まだもの言うひと

 

 

ここの祝福は

ほんのちょっと馬鹿にしたモーター音

で鳴る、いびつなデカール

光ってはいない

ベタベタと肥え太った虚構の向こう、舗道のスローモーション

自販機のあかりが消えたとしてもかざす窓に手を

道はつづくだけ

ぼくを待ってはいないが

道はつづくだけ、行くにせよ帰るにせよ

 

 

家路の、

これはずっと果たされぬ家路のイメージ