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キクチミョンサ的

「なれのはて」ということばがよく似合う、ちいさなぼくのプライドだよ

みじかい歌

どうもここ2日ほど、あたまに血がのぼっている。いくないいくない。

つとめて冷静になるべく、ファンシーな漫画を読んだり、笑える動画をみたり、アル中純粋バカオロカなりに対策を講じてはいるのだけれど、いまのところはかばかしい結果を得ることあたわず。ばかばかしい日々がつづいてゆく。それでも、つづいてゆくだけで重畳である。

 

そんなわけだから、ひとたび口をひらくとなると、ほかの(キクチ認定)バカオロカについつい言及してしまいそうで若干の不安を感じるのだった。落ち着くんだ、キクチ。おまえと彼らのいずかたがよりバカオロカであろうとも、つまるところはバカオロカ同士なのだから、互助の気持ち、相身互いの精神でもって同病相憐れむうえでの惻隠の情をだな…(と左肩の守護天使が言っている)。

 

はーい。

そういうことで、今回は趣味の話をします。

趣味の話、といっても問題はこのあと後半はただのコピペだ。ふふ…悪いな。

キクチの趣味のひとつに短歌がある。それも師匠と仰ぐのは同窓のパイセン今橋愛さんというあたりが渋い。いや、どっちかというとキラキラしすぎ。なんとなく過去作からピックアップして並べますのでご笑覧ください。

あれやで、笑えない状況に至ったときほど笑ってみい、ルビコン、じゃなかった死線超えられるかもせんで、と宮本武蔵も「五輪書」で書いてました。

 

 

キクチこころの短歌

 

 

愛ですかときいたらたぶん愛ですと真顔でいわれすこしうれしい

 

後悔にべつの名前をつけるのがじょうずになった春驟雨くる

 

しあわせなごはんのなかにしあわせでないひとがいて春はのどけき

 

 

 

絶望ということばがすこし重すぎて気軽に使い捨ててしまいたい

 

電気代を振り込みわすれた夜にならゲーテの気持ちがわかる気がする

 

「明日から」という気持ちをときどきは履き違えたくなる朝水温む

 

いつからか泣きたくなると台所にいるひとりで見たい夢もある

 

 

 

あの遠くで吠えている犬も結局は誰かの犬だとおもう帰り道

 

墓石のなかへしまってぬくぬくとさせてやりたい思い出もある

 

乗車位置をえらべるような人生やなかったと笑うひと五月尽く

 

グラスからわざとこぼして受け皿に溜まるくらいのゆううつでいい

 

 

 

かなしさの行間は読みとれるのにかんじんの文字を追えずうつむく

 

むかしから値札をきれいに剥がせない子供のままで春流れゆく

 

白鍵と黒鍵の数がつりあわないことさえいとしい夜にうかべて

 

三条を一筋下がって三.五条につかない春のあとさき

 

 

 

準急を一駅乗り過ごしてから気がつくような恋をしている

 

スーパーに博愛は売っていなくてこうべを垂れるように日がくれてゆく

 

母でなく母に近いだけの母に母をおぼえゆくいま風光る

 

ソーダ水猫の名前は忘れきて虹のどの色でもないひとがすき

 

 

 

終わってよかった恋だとビールの泡をつついて消えるような恋をしている

 

夏だというきみの伸びない手のぶんだけ架け渡されない午後を預かる

 

夕焼けを焼いて茹いて衣をつけて口にできない気持ちにしたい

 

 

 

赦されることにも慣れた半夏生きみの手首は黒く色づき

 

ごめんね葉桜でと笑って脚を開いたひとの顔をおもいだしている

 

音楽がつなげる程度のこころをもつひとを見ていた血の味がして

 

夢枕先着順の特典に手垢がついても愛していてね

 

 

 

すきなひととAVに出てほしいひとがいる空豆の皮を剥いてる

 

 

 

段ボールの数あったきみとの生活が段ボールのないこの部屋にまだある

 

叡電のだれも救わないかんじがすき目には青葉いらつくほどの

 

きみがため春の野に出でてきみのこと確信犯で忘れてしまいそう

 

夢は夢としてコンロの上で腐らせてしまえるそんな夢もある

 

 

 

憂鬱と書いて憂鬱を知りたいとおもっていたころ遠く山笑う

 

きみに似たひとの面影探す画面越しに小雨さざめき人影凍り

 

友だちができた日の夜換気扇の下具のない味噌汁をつくる

 

 

 

十字路はどう渡ってもいいのだと今ごろ気づく月傾きぬ

 

 

 

詩がきみの首をやわらかく締め上げて殺すだろうきみに詩を殺す指がなくても

 

生ごみになりたいと泣くひととごみ袋になれないひとの春

 

「濡れなくていい」きみのまちがった文法と文体の誤用をティッシュでこする

 

なんでも生活や日々とくくればいいとおもう乾いたあんぱんを潰す

 

 

 

三つ編みをほどかずに寝た姪ほどの齢のおんなの爪先に月

 

鰐の目をして木屋町の薄暗い風俗店で誰も待たない

 

他人の匂い立つ布団でねむる暁闇をふりはらってもいまだ暁闇

 

花の名前をしらないひとがすき熾火のようなやさしさになりたい

 

 

 

星を縫うのだといった恋人の皮膚炎の手にきょうも日は暮れ

 

退屈な夢の話をあとふたつみっつ聞こうとおもう花は枯れても

 

鏡をみて鏡のほうを疑えるほどには好きなこの腕を切る

 

 

 

青魚のぼんやりした目を見ているきみを抱けるとおもっていた

 

 

 

 

 

 

「すきだよ」といわれて「きらいじゃないよ」と返せる程度の愛でありたい