キクチミョンサ的

「なれのはて」ということばがよく似合う、ちいさなぼくのプライドだよ

きれいですね

狂ってしまいたいとおもううちは

まだ狂っていないから

大丈夫だ

ふざけた踊りおどりつづけて

なにが大丈夫だ?

きみの膚は見えてる

シャワー浴びすぎてカサカサだからこう言うんだ

「きれいですね」って。

 

誰かが思い出を棄てた

ひとつ、ふたつ、みっつって数えて

ぼくはそれを拾った

整わない未来のために

ぼくは、それを拾った

 

行く末も越し方も今なおここで澱む空気も

破顔一笑、そんなことじゃきみだってつまらないでしょう

木屋町を出て四条を東へ東へたどった

鴨川を越えて

あの子は言った。「きれいですね」って。

ぼくはそれに値しない

 

どうでもいいようなひとと

心底愛したひとと

誰の隣でも夜は平等に過ぎてゆく

「なんか、へんなかんじだ」

ぼくはおもうよ

生きてるやつが「死」について語るとき

意味はなくともほんのすこしだけ

そこからこぼれるものも

またひとつの、ふたつ、みっつの

「生」じゃないかと

 

 

シャワー浴びすぎたんだろ

知らない男の咥えすぎて疲れたんだろ

きみがねむりにつくころは

どこか遠くにいる

けれど

整わない未来のために

ぼくは、それを、拾った