帰り道のあて
酩酊していつもさよならしてる
律儀すぎる頻度で手を振る
じぶんが今、ここにいないことが不安だ
日が落ちるころから
ちょっとおかしくなるのはいつものこと
ぼくの棲むマンションにだんだんひとが帰ってくる
ヒールの音高く、くたびれた歩調
ちぐはぐな五線譜 抱きしめてやりたいなあ
夜のうえから
朝が降りてくるわけでなくとも
ついつい見上げてしまうのはなんで
すれ違うときのつくり笑いくらいでちょうどいいか
どこへもゆかなければ
帰り道の心配はしなくていい
どこへもゆかないから
もう帰り道のことは忘れさせて
ほしいだけさ
酩酊していつでもさよならできる
おだやかな温度できみをおもいだせる
黙って座って待っていればいい
ぼくを殺しそこねた11月が行って
12月が首を絞めにやってくるだけのこと