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キクチミョンサ的

「なれのはて」ということばがよく似合う、ちいさなぼくのプライドだよ

遠い湖

右手と左手の親指

爪の長さがずいぶんちがった

パドルを操るのにどちらがいいか知らない

 

 触感!やわらかく腐ってゆく夏の水道水

 

木は黙っていてもあたたかいな

遠いあの湖へ

 

新宿、ほの暗い遊歩道

酔っぱらった大学生や浮浪者をよけて泳いだ

ふしぎだね

7年もすれちがっていたのに

あなたの手は

黙っていても

あたたかいな

ふしぎだね

もうあなたに会えない、なんて

いっぺんたりともおもわないぼくのこと

 

小さな舟で中央線を追い越してゆく

窓辺に飾った花をちぎりながら

かぞえて、

「忘れたから思い出せるんだよ」

 

ここからこの詩はぼくの口もとを離れる

 

 光のようにすすめ

 たとえ輝いていなくとも

 光のようにすすめ

 嘘や欺瞞じゃないそれはきみの声だ

 光のようにすすめ

 立ち止まったときも

 光のような顔してすすめ

 すすめ

 

夢からさめれば

ぼくは転覆してたか、そうか

ぶかっこうな朝

何年経っても平等に遠い湖

爪はどこかしら欠けてしまったよ

 

あなたにあこがれて

吸いはじめたメンソールに火を点けてみる

甘くはないがしょっぱくもないな 

ひとくちだけでいいから

水がほしくなった

 

きょうはすこし

あたたかいな