「旗を燃やせ」
旗を燃やせ
きみがたいせつに隠し持っていた
腹の中に巻き込んだ旗を燃やせ
冬の朝、手を洗う水のひゃっこさ
木綿豆腐に踊るかつぶしのチリチリした匂い
射精、うつくしい死に顔と寝息
コンビニ袋持ってるから、ごめん、片手しかつなげないんだ
旗を燃やせ
熾火のようなやさしさと
落雷のひらめきで旗を燃やせ
なんとなく念じた人から電話がかかってくる夜
SNSはまだ何もつないじゃいない
エナメルのパンプス、かかとの折れた
それが横断歩道の上空を綺麗な放物線を描いて飛ぶんだ
思想はぼくらを糖分過多にする
だけどそれだけじゃ舌が疲れてしまう
酔っ払いに殴られた頬骨の痛み
電車を待っているときの踏切の音が好き
きょうは少し化粧が濃い肉屋の姉さん
ぬるい缶ビール、間違えて買った
旗を燃やせ
永遠の消費期限にそろそろ飽きないか
小さな街の小さな家で
何度も小さく滅びるのさ
口づけた瞬間
思い出せないような
味がする明日へ
コンビニ袋持ってるから、ごめん
どっちの手ならつなげるかな