キクチミョンサ的

「なれのはて」ということばがよく似合う、ちいさなぼくのプライドだよ

「空き地」

暗闇でかくれんぼ
知らないふりした横恋慕
おおきな約束を
ふたりで破ろうぜ

 

ぼくんちの郵便受けは貧弱で
ひとりぶんの鍵しか入っていない
取り出すの今すぐ

 

ああ
ダイヤルをまわすように
みんな順繰りに遠くなってゆく
決して会えないほどの距離じゃなくても
それから
誰か順繰りに近くなってゆく

 

傷つけることばかり死にたがりの遺伝子
黄昏時の空き地できれいに
終わらせられなかった遊びのイメージ
手には砂の跡 それでもいい、離すなよ
ひとり、ふたり、
呼ばれ帰ってゆく
その通うさみしげな
一本道のあたたかさよ

もしもぼくが詩人じゃなかったら
その背中を追って泣くんだとおもう
ああ、ああ

 

ダイヤルをまわすように
みんな順繰りに遠くなってゆく
決して会えないほどの距離じゃなくても
誰か順繰りに近くなってゆく

 

 
誰かを待つのは疲れたな
彼らの居場所は掴めないまま
ひとり、ふたり、みたり、よたり

他人につっかかってみたり酔っぱらったり
ダイヤルをまわして
番号を忘れてることに気づく
よくある朝の話だ

 

あの空き地はどこへ行ったかな