キクチミョンサ的

「なれのはて」ということばがよく似合う、ちいさなぼくのプライドだよ

酒精年代記

気がついたら、頭を四針縫っていた。

気がついたらってことはさすがにないであろう、と読者諸兄はおもわれるかもしれないが(目撃者の証言によると転倒して床で切ったらしい)、実際問題、おぼえているのは病院にてホチキスのような器具で頭をバチンバチンされているところからである。「うわあ…これは縫わなきゃいけないね」「まじっすか」。まじっすか、といいつつ、なんかこういうシチュエーション「東京喰種」みたいだなあ、などと内心どきどきしていた。つまり、まあ、酩酊していたのだ。おめでたいことでけっこうです。

そのまま病院を出て、付き添ってくれた友人たちとまたのみにいった。焼肉だった気がする。頭に果物のパンツ(緩衝材)みたいなのをすっぽりかぶって服が血まみれのロン毛・ヒゲの三十男が早朝に「えっと、タンとミノとマルチョウと…」なんて注文しつつビールをのんでいる。ホラーというより、スプラッタである。さすがに悪いとおもったのか、後輩のシャツを無理やり奪って着替えた。文化系バイオレンス。

翌日(といっても夜だったが)起きると右足の甲が異常に腫れ上がっていた。発酵させすぎたピザパイのようだ。どう考えても折れている。ほんとうに、おめでたいこってす。

 

ともあれ、これでぼくの輝かしくもおろかな酩酊史のうえ、「14年秋、尾てい骨骨折」「15年春、肋骨骨折」「15年秋、十二指腸潰瘍アンド肝障害」「16年春、前歯折れるアンド上部消化管出血で半月入院」そして「16年秋、四針アンド足の甲骨折」がこのたびくわわった。毎年、春と秋になにかが起こる、という法則にしたがって粛々と生きております。いっそのこと、菊地酒史にでも改名しようかしら。

みなみなさまにはご迷惑ならびにご心配をおかけして忸怩たる念がないといえば嘘になるような気もしないでもないのですがあるという概念はないことはないとイコールでは語れないわけでありまして…むにゃむにゃ。

 

とりあえず、1日半経ってようやく酒がうまくなってきた。明日は病院にいきます。あしたのアはアル中のア。抜糸のワルツを踊りながら、たそがれの国へ出てゆくのだ。