2016-11-18 おぼれるものは 詩 おぼれるものは藁をもつかむというが ほんとうは 笑いをつかもうとしているのだ 最後にきみの しらけきった顔が見たい 喜劇はいつも無言のうちに幕を上げる 棺オケをワインで満たし ひびわれたパンと接吻をかわす 日曜日くらいは 休んでみたっていいだろう それから 拍手ひとつ聞こえない淵に 深沈としずんでゆく 一夜 おぼれるための準備体操をしながら ぼくは妄想する みずからの表札を取り外すまえに そこへこびりついた浮世の垢や汚れを 聖者みたいな顔して ぬぐい去ってやろうと